「登録販売者になったら、白衣を着て、カウンターでお客さまに薬の相談に乗るスマートな仕事ができる!」
そう思っていませんか?
もしそう思っているなら、入社初日に「こんなはずじゃなかった…」とショックを受けることになります。
現実は、少し(だいぶ)違います。
実際の業務の9割は、「品出し」「レジ打ち」「清掃」という肉体労働です。薬の相談は、1日の業務のほんの一瞬に過ぎません。
「じゃあ、資格なんて取っても意味ないの?」
いいえ、そんなことはありません。大変な仕事ですが、それを補って余りある**「やりがい」や「将来性」**があるのも事実です。
この記事では、求人票には絶対に書かれない「現場のきつい現実(裏仕事)」から、「職場による仕事内容の違い」まで、元店員が包み隠さず徹底解説します。
1日のスケジュール(遅番のリアル)
ある日のドラッグストア店員(遅番:13:00〜22:00)のスケジュール例です。
「いつ薬の相談をしているの?」という視点で見てください。
- 13:00 出勤・引き継ぎ
- 早番スタッフから「今日の特売品の売れ行き」や「トラブル」の共有を受けます。
- 13:30 納品・品出し(地獄のタイム)
- トラックで運ばれてきた大量の段ボール(飲料、洗剤、オムツ)を、ひたすら棚に詰めます。
- 1箱10kg以上ある荷物を何十箱も運ぶ、完全な筋トレ時間です。
- 15:00 レジ打ちラッシュ
- 夕方の買い物ピーク。ひたすらスキャンし、袋詰めします。
- ここで薬の質問が来ることもありますが、行列ができているとゆっくり対応できないジレンマもあります。
- 18:00 休憩(1時間)
- バックヤードでお弁当。足がパンパンなのでマッサージします。
- 19:00 前出し・清掃
- 売れてスカスカになった棚の商品を手前に出し(前出し)、見栄えを整えます。
- 同時に床のモップがけや、トイレ掃除も行います。
- 21:00 閉店作業・精算
- レジのお金を数えます。1円でも合わないと帰れないプレッシャーがあります。
- 22:00 退勤
結論:薬の相談は「レジや品出しの合間」に行うものです。
「相談専門のスタッフ」としてカウンターに座っていられる店舗は、よほどの大手か調剤薬局くらいだと思ってください。
ここがきつい!仕事の裏側3選
1. 腰痛との戦い(肉体労働)
トイレットペーパーの大袋や、2リットルのペットボトル6本入りケースなど、ドラッグストアの商品はとにかく重いです。
シャンプーや洗剤の詰め替え用も、液体なので箱はずっしり重いです。
「薬剤師」のようなデスクワークや調剤を想像していると、腰をやってしまいます。コルセットは必須アイテムです。
2. クレーム対応(理不尽との戦い)
「この薬効かないじゃないか!金返せ!」
「レジが遅い!」
といった理不尽なクレームを受けることもあります。
特に薬は「体調が悪い人」が買いに来るので、お客様もイライラしていることが多いのです。接客業である以上、メンタルの強さは必要です。
3. 常に勉強が必要(終わらない宿題)
新商品は毎月のように出ますし、季節ごとに売れる薬(花粉症、虫刺され、乾燥肌)も変わります。
「資格を取って終わり」ではなく、働きながら新しい成分や商品を覚え続ける必要があります。
これを怠ると、お客様に質問された時に答えられず、プロとしての信用を失います。
職場によって違う!「スーパー」や「ホームセンター」の場合
「ドラッグストアはきつそう…」と思った方、安心してください。
登録販売者の活躍の場はドラッグストアだけではありません。職場によって業務内容はガラリと変わります。
| 職場 | 仕事の特徴 | 肉体労働 | 接客頻度 |
| ドラッグストア | オールマイティ。食品から雑貨まで扱う。 | 激務 | 多 |
| スーパー | 薬売り場担当。レジは食品と別のことが多い。 | 少〜中 | 少 |
| ホームセンター | 薬以外に日用品担当も兼ねる。広いので歩く。 | 中 | 少 |
| 家電量販店 | 薬コーナー担当。比較的ゆったり。 | 少 | 少 |
| コンビニ | 基本はコンビニ業務。薬の販売はおまけ程度。 | 中 | 多 |
「体力に自信がない」という方は、品出しの量が比較的少ない「スーパーの医薬品コーナー」や「家電量販店」の求人を狙うのが賢い戦略です。
▼あわせて読みたい
それでも「やっててよかった」と思う瞬間
きついことばかり書きましたが、それでも私がこの仕事を続ける理由は明確にあります。
「ありがとう」の重みが違う
コンビニの接客との最大の違いは、「お客様の悩みを解決できる」ことです。
「頭が痛くて…」「子供が熱を出して…」と困っている人に、適切な薬を選んであげる。
後日、「あなたに選んでもらった薬で良くなったよ、ありがとう」と言われた時の喜びは、重い荷物を運んだ疲れなんて一瞬で吹き飛ぶほどです。
自分の健康にも詳しくなる
風邪のひき始めの対処法や、サプリメントの知識など、自分や家族の健康を守る知識が自然と身につきます。
「病院に行くほどじゃないけど…」という時に、自分で正しい判断ができるのは、一生モノの財産です。
将来のキャリアアップ
店舗スタッフからスタートしても、頑張り次第で「店長」や「エリアマネージャー」への道が開けます。
店長になれば年収500万円以上も夢ではありません。
「ただの店員」で終わらないキャリアが描けるのも、国家資格レベルの資格ならではの魅力です。
よくある質問(Q&A)
Q. ノルマはありますか?
A. 会社によりますが、個人ノルマは減っています。
昔はありましたが、最近はコンプライアンス重視で「店舗目標」になっているところが大半です。ただし、「今月はこの栄養ドリンクを推しましょう」といった推奨販売のプレッシャーは多少あります。
Q. 覚えることが多すぎてパンクしませんか?
A. 最初は大変ですが、慣れます。
全ての薬を完璧に覚える必要はありません。「痛み止め」「風邪薬」「胃薬」など、よく売れる定番商品から少しずつ覚えていけば大丈夫です。先輩もフォローしてくれます。
Q. 登録販売者は「レジ打ち」しなくてもいいですか?
A. 基本的にはします。
ただし、混雑時以外は「薬カウンター」に常駐できる店舗や、調剤事務を兼務する場合はレジに入らないこともあります。これは店舗の方針次第です。
まとめ:覚悟があれば最高の仕事
登録販売者の仕事は、決して楽ではありません。
しかし、「人から頼られる専門職」であることは間違いありません。
- 体を動かすのが好き
- 人と話すのが好き
- 誰かの役に立ちたい
もしあなたがこれに当てはまるなら、ドラッグストアは最高の職場になるはずです。
逆に「座って仕事をしたい」なら、調剤事務を選んだ方が幸せになれます。
まずは資格を取って、そのスタートラインに立ってみませんか?
最短3ヶ月で合格できる勉強法は、以下のランキングを参考にしてください。
