登録販売者の実務経験と管理者要件を解説|1920時間の条件と証明書の取得方法

登録販売者試験に合格! そんな喜びも束の間、多くの合格者が次に直面するのが、「実務経験」という、少し複雑なルールです。

こんな悩み、ありませんか?

  • ✅ 名札に「研修中」って書いてあるけど、これっていつまで?
  • ✅ よく聞く「1920時間」って、具体的に何年働けばいいの?
  • ✅ 一人前になるための「管理者要件」って、どうすれば満たせるの?
  • ✅ 辞めた会社の「実務経験証明書」ってもらえるの?

ご安心ください。この記事では、そんなあなたの疑問を解消するため、登録販売者の実務経験と管理者要件の全てを、どこよりも分かりやすく徹底解説します。

この記事を読めば、あなたが次に何をすべきかが明確になり、自信を持ってキャリアの第一歩を踏み出せるようになります。

目次

登録販売者に実務経験が必要なのはいつ?

試験には不要、合格後に必要

まず大前提として、現在の登録販売者試験は、受験するために実務経験は一切不要です。 「実務経験」が必要になるのは、試験に合格し、実際に店舗で働き始めたの話になります。

「研修中」から「一人前」になるための条件とは?

試験に合格しただけの状態では、まだ「登録販売者(研修中)」という身分です。 この「研修中」の札を外し、店舗の医薬品を管理・指導できる「店舗管理者」「区域管理者」(いわゆる一人前の登録販売者)になるために、国が定めた実務経験のルール(=管理者要件)をクリアする必要があるのです。

管理者要件の詳細|「1920時間」と「実務年数」を理解する

ここが最も複雑で、重要なポイントです。管理者要件を満たすには、「期間」「時間」の2つの条件をクリアしなければなりません。

原則ルール:「直近5年中、通算2年以上」かつ「合計1920時間以上」

これが基本のルールです。具体的には、

過去5年間のうちに、月80時間以上の勤務を、合計で24ヶ月以上(2年以上)経験していること

が求められます。 多くの場合、パート勤務(週20時間×4週=月80時間)であれば、ちょうど2年間でこの要件を満たす計算になります。

新ルール:「1年+追加研修」での短縮ルート

2023年4月のルール緩和により、新しいルートもできました。

過去5年間のうちに、合計で1年以上(12ヶ月以上)の実務経験があり、かつ合計勤務時間が1920時間以上で、さらに指定の「追加的研修」を修了した場合も、管理者要件を満たせます。

これは、フルタイム勤務などで1年間に集中して働くことで、最短1年で一人前になれる道が開かれたことを意味します。

💡1920時間 達成シミュレーション

パート勤務(月80時間)の場合: 80時間 × 24ヶ月 = 1920時間最短2年で時間と期間の両方をクリア!

フルタイム勤務(月160時間)の場合: 160時間 × 12ヶ月 = 1920時間最短1年で時間要件をクリア!(+追加研修が必要)

どんな業務が実務経験になる?

「自分の仕事は実務経験としてカウントされるの?」という疑問も多いです。原則として、「一般用医薬品の販売に関する業務」が対象となります。

認められる業務の例

  • 医薬品に関する相談応需、情報提供
  • 医薬品の陳列、在庫管理、発注業務
  • 店舗の管理者として、他の従業員を監督すること

認められない業務の例

  • レジ打ち業務のみ(医薬品の相談対応をしていない場合)
  • 日用品や食品の品出し、管理業務のみ
  • 調剤薬局での調剤補助業務
  • 化粧品のカウンセリング販売のみ

簡単に言うと、「医薬品コーナーの担当として、専門的な業務にどれだけ関わっていたか」が重要になります。

【完全ガイド】「実務経験証明書」の取得方法と書き方の全て

管理者要件を満たしたことを公的に証明するために必要なのが、「実務経験証明書(または業務従事証明書)」です。これは、あなたが「いつ・どこで・どんな業務を・何時間行ったか」を、第三者(勤務先企業)が証明する、非常に重要な書類です。

どこでもらえる?→ 発行元は「勤務先の企業」です

まず、最も重要な点です。この証明書は、都道府県や保健所が発行するものではありません。あなたが実務経験を積んだ、ドラッグストアや薬局を運営する企業(本社の人事部や総務部が一般的)に発行を依頼する必要があります。 個別の店舗ではなく、企業の管理部門に問い合わせるのが基本、と覚えておきましょう。

どう書くの?→ 各都道府県のサイトからフォーマットをダウンロード

証明書のフォーマット(様式)は、多くの場合、あなたが販売従事登録をしている(あるいは、これからする)都道府県の公式サイト(薬務課のページなど)から、WordやPDF形式でダウンロードできます。 自分で一から作成する必要はありませんので、必ず公式のフォーマットを使いましょう。

《主な記入項目》

  • 証明を受ける人の氏名・生年月日
  • 勤務した期間(例:2023年4月1日〜2025年3月31日)
  • 月間の勤務時間数と、合計勤務時間数
  • 具体的な業務内容(例:一般用医薬品の販売、情報提供、相談応需、在庫管理など)
  • 証明する会社の名称、所在地、代表者名、そして【会社の代表者印】

⚠️注意点: 記入はあなた自身が行う場合と、企業側が全て書いてくれる場合があります。いずれにせよ、最終的に会社の代表者印(角印や丸印)を押してもらう必要があります。店舗の認印などでは認められませんので、ご注意ください。

複数職場・退職後の対応法 → 全ての職場から、それぞれもらう

「2年間のうちに、A社で1年、B社で1年働いた」というように、複数の企業での経験を合算して要件を満たす場合、A社とB社の両方から、それぞれ証明書を発行してもらう必要があります。

「もう辞めた会社に連絡するのは気まずい…」と感じるかもしれませんが、この証明書の発行は、労働基準法で定められた企業の義務です。遠慮なく、丁寧にお願いしましょう。退職する際に、あらかじめ発行を依頼しておくのが最もスムーズです。

まとめ:焦らず、着実にステップアップして「一人前」を目指そう

登録販売者の実務経験について、ご理解いただけたでしょうか。

まず試験に合格することが第一歩!
合格後、パートでもOKなので、医薬品販売の実務をスタートする。
「2年・1920時間」などの管理者要件をクリアし、「研修中」を卒業する!

このステップを正しく理解し、焦らず、着実にキャリアアップを目指しましょう。 (※参考:厚生労働省「登録販売者制度の改正について」)


これから実務経験を積むための職場を探す方は、こちらの『仕事内容の徹底解説記事』で、自分に合った働き方を見つけてみてください。

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